深掘り解説コラム63 / 注文住宅の売却は難しい?建築士が教える高査定を引き出すアピール術

「時間をかけて建てたこだわりの注文住宅だけど、売却は難しいって聞く

「個性的なデザインの家は、相場より安く売られてしまうのかな?」

注文住宅は、ご自身のこだわりやライフスタイルを詰め込んだ、唯一無二の住まいです。しかし、その「個性」ゆえに、売却が難しいのではないか、という不安を抱く方も少なくありません。

確かに、万人受けする建売住宅に比べ、買い手が見つかりにくい可能性はゼロではありません。しかし、注文住宅には、その「個性」こそが、高査定を引き出す強力な武器となります。今回は、一級建築士として、注文住宅の価値を最大限に引き出す売却アピール術を解説します。

注文住宅売却の「強み」と「弱み」を理解する

まずは、注文住宅の売却における、強みと弱みを正確に理解しましょう。

強み:唯一無二の「付加価値」

 設計のストーリー性: 建築家との打ち合わせを経て、設計に込められた思いやコンセプトは、建売住宅にはない魅力です。

 高い性能: 断熱性能や耐震性能、建材の質など、目に見えない部分にこだわって建てられていることが多いです。

 特別な間取り: 家族構成や趣味に合わせて設計された間取りは、特定のニーズを持つ買い手にとって大きな魅力となります。

弱み:「個性が強すぎる」リスク

 一般的なニーズとのズレ: 特徴的なデザインや特殊な設備は、万人受けしない可能性があります。

 価格の判断が難しい: 類似物件が少ないため、不動産会社も査定額の判断が難しくなることがあります。

高査定を引き出す「建築士が重視するアピールポイント」

ここからは、建築士の視点から、注文住宅の強みを最大限に活かすアピール術を解説します。

アピール術1:建物の「性能」を客観的に証明する

建売住宅との最大の違いは、見えない部分の性能です。これを口頭で伝えるだけでなく、客観的な証拠で示しましょう。

 住宅性能評価書: 耐震等級や断熱性能など、公的な証明書があれば、建物の性能を正確に伝えられます。

 省エネ性能の証明: ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)や長期優良住宅の認定を受けていれば、その証明書は強力なアピール材料になります。

 メンテナンス履歴: 外壁塗装、屋根の葺き替え、水回り設備の交換など、定期的なメンテナンスの記録をまとめておきましょう。

アピール術2:設計の「ストーリー」を伝える

あなたの家がなぜその間取りやデザインになったのか、ストーリーを語ることで、単なる建物以上の価値を伝えることができます。

 設計コンセプトシート: 建築家が作成したコンセプトシートがあれば、それをアピールしましょう。

 暮らしのアイデア: 「この窓からは最高の夕日が見えます」「この収納は子どものおもちゃを片付けるのに便利でした」など、具体的なエピソードを伝えることで、買い手は自分の暮らしをイメージしやすくなります。

アピール術3:専門家による「インスペクション」を活用する

注文住宅は、構造や建材の選定が複雑な場合があり、買主が不安を感じることがあります。

 インスペクションの実施: 建築士などの専門家に依頼し、建物の状態を診断してもらいましょう。

 安心材料の提供: 調査報告書を提示することで、目に見えない部分の状態を正直に開示でき、買主に大きな安心感を提供できます。

まとめ:注文住宅の価値は「見せ方」で決まる

注文住宅の売却は、単に「価格」をアピールするだけでなく、「その家にしかない価値」をどう伝えるかが成功の鍵となります。

 建物の性能を証明する資料を揃える。

 設計に込められたストーリーや暮らしの工夫を伝える。

 インスペクションを実施し、建物の安全性を客観的に示す。

これらのアピール術を実践することで、あなたのこだわりの詰まった家は、その価値を正当に評価してくれる買い手と出会い、納得のいく価格で売却できるでしょう。

イエシール / 家を建てようと思ったら、一級建築士と賢く家づくり

タイトルとURLをコピーしました