深掘り解説コラム58 / 家づくりで失敗しないための「設計監理」の重要性

「設計は建築士に頼んだけど、工事は工務店任せで大丈夫かな?」

家づくりを進める中で、このように不安を感じる方は少なくありません。実は、設計図が完成しただけでは、家づくりの成功は約束されません。設計図通りに、質の高い工事が行われているかをチェックする「設計監理」が、家づくりで失敗しないための最後の砦となります。

一級建築士として、私は設計だけでなく、この設計監理こそが、お客様の理想を形にする上で最も重要なプロセスだと考えています。今回は、設計監理の役割と、なぜそれが家づくりで不可欠なのかを解説します。

「設計」と「設計監理」の違いとは?

多くの人が混同しがちな「設計」と「設計監理」。それぞれの役割は全く異なります。

 設計(Design): お客様の要望をヒアリングし、間取りやデザイン、使用する建材などを検討して、設計図面を作成すること。これは「理想の家をどのように建てるか」という計画を立てる段階です。

 設計監理(Supervision): 設計図通りに工事が進んでいるか、手抜き工事や不具合がないかを、建築士が現場でチェックすること。これは「計画が適切に実行されているか」を確認する段階です。

つまり、設計が「計画書を作る仕事」なら、設計監理は「計画書通りに工事が進んでいるかを確認する仕事」なのです。

設計監理が家づくりで不可欠な3つの理由

設計監理を怠ると、後々大きなトラブルに発展する可能性があります。

1. 手抜き工事や欠陥工事を防ぐ

設計図には、建物の構造や使用する建材、納まり(部材同士の接合部)が詳細に描かれています。しかし、工事現場では、コスト削減や工期短縮のために、設計図通りに行われないことがあります。

 設計監理の役割:

  設計監理者は、定期的に現場に足を運び、基礎の配筋(鉄筋の組み方)が適切か、断熱材が隙間なく充填されているかなど、目に見えない部分まで厳しくチェックします。

  施工業者に適切な指示や是正を求めることで、手抜き工事や欠陥工事を未然に防ぎます。

2. 現場での変更や調整に迅速に対応する

工事を進める中で、設計図だけでは解決できない現場特有の問題や、軽微な変更が必要になることがあります。

 設計監理の役割:

  現場での急な問題発生に対し、設計監理者が建築士の専門知識と経験を活かし、迅速かつ最適な解決策を提案します。

  これにより、工事の遅延を防ぎ、スムーズな家づくりを進めることができます。

3. 「施主の代理人」として、品質を保証する

設計監理者は、施工業者ではなく、施主(建主)側の立場に立って仕事をします。

 設計監理の役割:

  施工業者に「言いにくいこと」や「専門的な判断」が必要な場合に、施主に代わって交渉や指示を行います。

  専門家が施主の味方になることで、工事の品質が保たれ、完成後のトラブルリスクを大きく減らすことができます。

設計監理を依頼する際の注意点

多くのハウスメーカーや工務店は、設計から施工までを一貫して行うため、設計監理は内部で行われることがほとんどです。しかし、建築家や設計事務所に依頼する場合、設計と施工を分離して行うことが多く、施主が設計監理を依頼する必要があります。

 依頼先の選び方:

  設計事務所に依頼する場合、設計と設計監理をセットで依頼できるか確認しましょう。

  設計監理料は、一般的に総工費の510%程度が目安となります。

まとめ:家づくりは「設計監理」までがワンセット

家づくりを成功させるためには、設計図の美しさや機能性だけでなく、その図面がいかに忠実に現場で再現されるかが鍵となります。

 設計と設計監理は、全く異なる重要な役割を持つ。

 設計監理は、手抜き工事や欠陥工事を防ぐための最後の砦。

 施主の代理人として、品質を厳しくチェックする。

設計監理は、一見すると分かりにくいサービスかもしれませんが、「施主の安心」と「建物の品質」を保証するために、決して欠かすことのできないプロセスです。信頼できる建築士に設計監理まで含めて依頼することで、あなたは後悔のない家づくりを実現できるでしょう。

イエシール / 家を建てようと思ったら、一級建築士と賢く家づくり

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