深掘り解説コラム53 / 【耐震等級割引】あなたの家の耐震等級で火災保険料が安くなる!

マイホームを建てる際、多くの人が地震に強い家を望みます。建物の「耐震等級」は、その耐震性の高さを証明する重要な指標です。そして、この耐震等級が高い家は、地震に強いだけでなく、火災保険料や地震保険料が割引されるという大きなメリットがあることをご存知でしょうか。

一級建築士として、私はお客様の家づくりにおいて、耐震等級を上げるための設計を推奨しています。耐震性の向上は、家族の安全を守るだけでなく、長期的なコスト削減にも繋がる賢い選択だからです。今回は、耐震等級と保険料の関係、そして割引制度を賢く活用する方法について解説します。

耐震等級とは?

耐震等級とは、地震に対する建物の強さを3つのレベルで表した指標です。これは、国土交通省が定めた「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づくもので、住宅性能表示制度の一つです。

 耐震等級1 建築基準法で定められた最低限の耐震性能。数百年に一度発生する大地震でも倒壊・崩壊しない程度の強さ。

 耐震等級2 耐震等級11.25倍の耐震性能。長期優良住宅の認定基準の一つ。

 耐震等級3 耐震等級11.5倍の耐震性能。災害時の救護活動の拠点となる病院や警察署などと同程度の強さ。

耐震等級が高いと「保険料が安くなる」理由

耐震等級が高い家は、地震による被害のリスクが低いと見なされるため、保険会社は保険料を割り引きます。これは、保険会社にとっても保険金支払いのリスクが減るため、双方にメリットがある仕組みです。

割引制度の対象となるのは「地震保険料」です。 火災保険料は、建物構造や所在地によって決まるため、耐震等級による割引はありません。

耐震等級と地震保険料の割引率

耐震等級が高いほど、地震保険料の割引率は大きくなります。

 耐震等級1 割引なし

 耐震等級2 30%割引

 耐震等級3 50%割引

この割引制度は、「耐震等級割引」と呼ばれ、地震保険に加入する際の大きなメリットとなります。特に、地震保険は建物の所在地や構造によって保険料が高くなる傾向があるため、割引率50%は非常に大きな金額になります。

割引を賢く活用するためのポイント

耐震等級割引を適用して保険料を安くするためには、いくつかのポイントがあります。

1. 住宅性能評価書を取得する

耐震等級を証明するには、「住宅性能評価書」が必要です。これは、建築士などの評価機関が建物を検査・評価し、等級を証明するものです。

 ポイント:

  家づくりの初期段階で、依頼するハウスメーカーや工務店に「耐震等級3を取得したい」と伝えましょう。

  性能評価書の取得には費用がかかりますが、長期的な保険料の削減額を考えると、十分元が取れます。

2. 地震保険の保険料をシミュレーションする

耐震等級割引を適用した場合としない場合で、どれくらい保険料が安くなるかをシミュレーションしてみましょう。

 ポイント:

  シミュレーションは、保険会社のウェブサイトや、保険代理店に依頼することで簡単に行えます。

  割引額が明確になることで、耐震等級を上げるための初期投資に対するモチベーションが高まります。

3. 耐震等級と建物のコストバランスを考える

耐震等級を上げるには、壁の量を増やしたり、構造材を強化したりする必要があり、建築費用が上がります。

 ポイント:

  初期費用と、将来的な保険料の削減額、そして何よりも「地震に強い家で安心して暮らせる」という精神的な安心感のバランスを考えることが重要です。

  一級建築士の視点: 私は、耐震等級3を強く推奨しています。初期費用は増えますが、保険料の割引が最大になり、そして何よりも、大規模な地震が発生した場合の家族の安全を最大限に守ることができます。

まとめ:耐震等級は「安心」と「コスト削減」を両立させる

耐震等級は、単なる性能表示ではなく、あなたの家とご家族の命を守るための重要な指標です。そして、その等級を上げることは、地震保険料の割引という形で、家計にも大きなメリットをもたらします。

 耐震等級が高いほど、地震保険料の割引率が上がる(等級350%割引)。

 割引適用には「住宅性能評価書」が必要。

 初期の建築費用と長期的な保険料削減額のバランスを考える。

これらのポイントを押さえ、あなたとご家族の未来を守るために、地震に強い家づくりと、それに伴う保険の賢い選択を検討してください。

イエシール / 家を建てようと思ったら、一級建築士と賢く家づくり

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