深掘り解説コラム45 / 落雷・ひょう・雪災…火災保険の特約でどこまで備える?

家づくりやマイホームの購入を検討する際、火災保険の加入は必須です。「火災保険」という名前から、火事になった時の補償だけをイメージしがちですが、実は多くの火災保険には、火災以外のさまざまな自然災害に備えるための補償が含まれています。

特に、近年多発している落雷、ひょう、雪災といった災害は、私たちの暮らしに身近なリスクであり、適切な備えが必要です。今回は、これらの災害に対する火災保険の補償内容と、あなたの住まいのリスクに応じてどこまで特約で備えるべきか、その考え方を解説します。

火災保険の基本補償と「自然災害」

ほとんどの火災保険は、以下の「基本補償」をパッケージとして提供しています。

 火災、落雷、破裂・爆発

 風災、ひょう災、雪災

このうち、2番目に挙げられている「風災、ひょう災、雪災」が、建物や家財に対する自然災害の主な補償となります。

しかし、これらの補償をどこまで付帯させるか、または外すかは、地域や建物の構造によって判断が異なります。

種類別・補償内容と備え方

それぞれの災害に対する補償内容と、あなたが住む地域のリスクを考慮した備え方を詳しく見ていきましょう。

1. 落雷による被害

落雷は、建物そのものだけでなく、家庭内の電気製品にも甚大な被害をもたらすことがあります。

 補償対象:

  落雷による火災や建物の損壊。

  ポイント: 落雷による過電流で、テレビやパソコンなどの家電製品が故障した場合も、家財保険で補償されるのが一般的です。

 備え方:

  落雷は日本全国どこでも発生するリスクがあるため、基本補償として付帯させておくべきです。

  建物の近くに避雷針があれば安心ですが、そうでない場合も、家財保険の保険金額を適切に設定しておくことが重要です。

2. ひょう(雹)による被害

ひょうは、短時間で広範囲に被害をもたらすことがあり、特に窓ガラスや屋根、外壁に大きなダメージを与えることがあります。

 補償対象:

  ひょうによって窓ガラスが割れたり、屋根や外壁にへこみや穴があいたりした損害。

 備え方:

  ひょうの発生頻度が高い地域に住んでいる場合は、ひょう災補償は必須です。

  特に、カーポートやテラスなど、ガラスやプラスチック製の部分が多い構造物は、被害を受けやすいため注意が必要です。

3. 雪災による被害

雪災の補償は、雪の重みによる損害が主な対象となります。

 補償対象:

  積雪の重みで建物の屋根が損壊したり、カーポートやテラスが倒壊したりした損害。

  落雪によって、隣家の建物や家財を損壊させた場合も補償される場合があります。

 備え方:

  豪雪地帯や、積雪が多い地域に住んでいる場合は、雪災補償は必ず付帯させるべきです。

  雪に慣れていない地域であっても、近年は記録的な大雪が降ることもあり、リスクを考慮しておく必要があります。

  一級建築士の視点: 雪が多い地域では、建物の屋根の構造や強度、除雪のしやすさなどを考慮して設計します。建物のハード面での対策と、保険というソフト面での対策を両立させることが重要です。

【重要】火災保険だけでは補償されない災害

ここまで解説した災害は、火災保険の基本補償でカバーできますが、以下の災害は火災保険では補償されません。

 地震・噴火・津波

 経年劣化による損害

 故意や重大な過失による損害

特に、地震保険は火災保険とセットでしか加入できません。地震大国である日本では、地震保険への加入は必須と考えるべきです。

賢い火災保険の選び方:あなたの住まいのリスクに合わせる

火災保険は、すべての補償をつけすぎて保険料が高くなるのも、必要な補償を外してしまってリスクを抱えるのも避けたいところです。

1. 地域の災害リスクを把握する

 気象庁のデータや地域のハザードマップを参考に、台風、豪雨、積雪などの災害リスクを把握しましょう。

 過去に近隣でどのような被害があったか、地域の住民に聞いてみるのも良い方法です。

2. 複数の保険会社の見積もりを比較する

 複数の保険会社から見積もりを取り、補償内容と保険料を比較検討しましょう。

 特に、水災補償や風災補償などは、保険会社によって保険料に差が出ることがあります。

3. 専門家に相談する

 一級建築士は、建物の構造や性能の観点から、どのような災害リスクが高いかを判断できます。

 保険の専門家(保険代理店など)は、最新の保険商品や補償内容に精通しているため、あなたのニーズに合った保険を提案してくれます。

まとめ:火災保険は「安心を買う」もの

火災保険は、万が一の災害から大切なマイホームと、その後の生活を守るための「安心」を買うものです。

 落雷、ひょう、雪災は火災保険でカバーできる。

 ご自身の住まいの地域リスクに応じて、必要な補償を判断する。

 地震保険は火災保険とセットで必ず加入する。

これらのポイントを押さえることで、あなたは無駄な保険料を払うことなく、本当に必要な補償で大切な資産を守ることができるでしょう。

イエシール / 家を建てようと思ったら、一級建築士と賢く家づくり

 

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