深掘り解説コラム44 / 【実例解説】ZEH住宅ローン優遇で、これだけ得する!

ZEH住宅は光熱費が安くなるって聞くけど、建築費用が高くなりそう

そう考えている方こそ、ぜひ知っておいてほしいのが「ZEH住宅ローン優遇制度」です。ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)住宅は、高い断熱性能と省エネ設備、そして太陽光発電などで、年間の一次エネルギー消費量を実質ゼロ以下にする住宅のことです。

この高性能住宅を建てることは、月々の光熱費を抑えるだけでなく、住宅ローンや税制面でさまざまな優遇措置が受けられるため、建築費用以上のメリットを享受できます。今回は、ZEH住宅で受けられる住宅ローンの優遇制度を具体例を交えて解説し、どれだけお得になるのかを明らかにします。

ZEH住宅で受けられる住宅ローンの主な優遇制度

ZEH住宅は、国が推奨する高い省エネ基準を満たしているため、さまざまな優遇制度の対象となります。

1. 住宅ローン減税の「借入限度額」が上乗せされる

住宅ローン減税は、年末時点のローン残高に応じて所得税から控除される制度です。ZEH住宅は、この控除の対象となる借入限度額が優遇されます。

 具体例(2025年入居の場合):

  一般住宅: 借入限度額2,000万円

  ZEH水準省エネ住宅: 借入限度額4,500万円

この借入限度額の上乗せにより、控除される金額が大きく変わります。例えば、年末のローン残高が3,000万円の場合、一般住宅では2,000万円までしか控除の対象になりませんが、ZEH水準住宅なら3,000万円全額が対象となります。これにより、控除額が最大で13年間、毎年最大で21万円(3,000万円 × 0.7% = 21万円)も多くなる可能性があります。

2. 金融機関独自の「金利優遇」が受けられる

多くの金融機関が、ZEHや長期優良住宅などの高性能住宅向けに、独自の住宅ローン商品を設けています。

 具体例:

  金利の引き下げ: 一般的な住宅ローンよりも、金利が年0.05%0.2%程度優遇される場合があります。

  団信の金利上乗せ優遇: 通常、特約付き団体信用生命保険(団信)に加入すると金利が上乗せされますが、ZEH住宅ならその上乗せ幅が小さくなる、あるいは優遇されることがあります。

金利の引き下げは、わずかな差に見えますが、35年間の返済期間で考えると、返済総額に大きな差を生み出します。

3. 【フラット35】の「金利優遇(フラット35S)」

【フラット35】は、国が住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する、長期固定金利の住宅ローンです。ZEH住宅はこの【フラット35】の金利優遇制度「フラット35S」の対象となります。

 内容:

  当初5年間または10年間、金利が引き下げられます。

 要件:

  省エネルギー性、耐震性、バリアフリー性などの基準を満たす必要があります。ZEH住宅は、この「省エネルギー性」の最高ランクを満たすため、金利優遇を受けられます。

【実例解説】ZEH住宅はどれだけお得になる?

では、これらの優遇制度が、実際の家計にどれほどのメリットをもたらすか、具体的なシミュレーションで見てみましょう。

 借入金額: 4,000万円

 借入期間: 35

 金利タイプ: 変動金利

 前提条件: 一般住宅とZEH住宅で、金利と住宅ローン控除に差があると仮定。

項目 | 一般住宅 | ZEH水準省エネ住宅 |

|—|—|—|

金利優遇 | なし(年1.0% | 0.1%優遇(年0.9% |

住宅ローン控除 | 借入限度額2,000万円 | 借入限度額4,500万円 |

年間の光熱費 | 20万円 | 10万円 |

住宅ローン総額 | 4,720万円 | 4,560万円 |

| 35年間で削減できるローン利息 | – | 160万円 |

| 35年間で削減できる光熱費 | – | 350万円 |

住宅ローン控除額の差(13年間) | 借入限度額の差で控除額が減る | 控除額が最大限に適用される |

※これはあくまで概算であり、具体的な金額は借入条件や建物の性能によって異なります。

このシミュレーションから、ZEH住宅は、住宅ローン利息の削減と光熱費の削減だけで、トータルで500万円以上もお得になる可能性があることが分かります。さらに、住宅ローン減税の恩恵も最大限に受けられるため、初期の建築費用が増えたとしても、長期的なメリットで十分元を取ることが可能です。

まとめ:ZEH住宅は「賢い選択」

ZEH住宅は、地球環境に優しく、住む人にとって快適であるだけでなく、資金面でも大きなメリットがある「賢い選択」と言えます。

 住宅ローン減税で、控除額の対象となる借入限度額が上乗せされる。

 多くの金融機関で、金利の引き下げや団信の優遇が受けられる。

 【フラット35Sを利用すれば、金利の優遇が受けられる。

これらの優遇制度は、ZEH住宅を建てるための初期費用を補い、長期的に家計を楽にするための強力なツールです。高性能住宅を検討する際は、これらの優遇制度を最大限に活用できるよう、補助金やローンの知識が豊富な建築パートナーに相談することをおすすめします。

イエシール / 家を建てようと思ったら、一級建築士と賢く家づくり

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