深掘り解説コラム40 / リノベーションローンの種類と選び方:賢く借りて理想の住まいを実現

「中古マンションや中古戸建てを購入して、自分好みにリノベーションしたい!」

「今の住まいを、最新の設備や間取りにリフォームしたい!」

そう考える方が増える一方で、「リノベーションにかかる費用をどうやって工面すればいいの?」という資金面の不安も少なくありません。リノベーション費用は数十万円から数千万円と幅広く、現金だけで賄うのは難しいケースも多いです。

そこで活用したいのが、リノベーションローンです。一級建築士として、私はお客様の理想のリノベーションプランを設計するだけでなく、それを実現するための資金計画のサポートも行っています。今回は、リノベーションローンの種類やそれぞれの特徴、そしてあなたの計画に合った賢い選び方を解説します。

リノベーションローンの種類と特徴

リノベーションローンは、大きく分けて3つのタイプがあります。それぞれの特徴を理解し、自分の状況に合ったものを選びましょう。

1. 住宅ローン一体型(最も一般的)

住宅ローン一体型は、中古物件の購入費用とリノベーション費用を一つの住宅ローンにまとめて借り入れる方法です。

 特徴:

  金利が低い: 住宅ローンと同じ金利が適用されるため、リノベーションローンの中で最も金利が低く、返済総額を抑えられます。

  借入期間が長い: 住宅ローンと同じ最長35年の長期で借り入れが可能です。

  手続きがスムーズ: ローン契約が一本化されるため、手続きが比較的シンプルです。

 デメリット:

  審査が厳しい: リノベーション計画を含めた総額での審査となるため、借入額が多くなり、審査は厳しくなる傾向があります。

  リフォーム費用が確定している必要がある: 住宅購入と同時にリノベーションプランを確定させ、見積もりを提出する必要があるため、計画を急ぐ必要があります。

  つなぎ融資が必要になる場合も: リノベーション工事の着手金や中間金は、工事の進捗に応じて現金で支払う必要があります。その費用を賄うために、つなぎ融資を利用しなければならないケースもあります。

2. リフォームローン(単体)

リフォームローンは、すでに所有している住宅をリフォームする場合や、リノベーション費用のみを借り入れたい場合に利用する単体のローンです。

 特徴:

  無担保型と有担保型がある:

   無担保型: 担保が不要なため、審査が比較的通りやすく、手続きが簡単です。しかし、借入額は少額(上限1,000万円程度)で、金利は高め(35%程度)です。

   有担保型: 住宅を担保にするため、借入額は大きく(上限5,000万円程度)、金利も低い(13%程度)です。ただし、審査に時間がかかり、手続きが複雑になります。

 メリット:

  柔軟性が高い: 住宅購入時でなくても、必要なタイミングで借り入れが可能です。

 デメリット:

  金利が高め: 住宅ローン一体型に比べて、金利が高い傾向にあります。

3. その他(フリーローン、カードローンなど)

リノベーション費用を、フリーローンやカードローンで賄う方法もあります。

 特徴:

  審査が簡単: 手続きが非常に簡単で、スピーディーに借り入れが可能です。

 デメリット:

  金利が非常に高い: 無担保のリフォームローンよりもさらに金利が高く(515%程度)、返済総額が膨らむため、数十万円程度の小規模なリフォームに限定すべきでしょう。

リノベーションローンの賢い選び方

どのローンを選ぶべきかは、あなたの「リノベーションの目的」と「資金状況」によって異なります。

1. 中古住宅購入+リノベーションなら「住宅ローン一体型」が第一選択

中古住宅を購入し、同時に大規模なリノベーションを行う場合は、金利の低い住宅ローン一体型が最も経済的です。

 ポイント:

  住宅ローン一体型に対応している金融機関は限られているため、まずは対応可能な金融機関を探しましょう。

  リノベーションの計画を住宅購入前に確定させる必要があるため、信頼できる建築士やリノベーション会社を見つけることが重要です。

2. 現在の住まいのリフォームなら「リフォームローン」

すでに持ち家があり、キッチンやお風呂などの設備交換や内装リフォームを行う場合は、リフォームローンが選択肢となります。

 ポイント:

  リフォーム費用が少額なら「無担保型」: 手続きをシンプルに済ませたい場合。

  大規模リフォームなら「有担保型」: 金利を抑え、長期で返済したい場合。

  費用対効果を考え、返済額とリフォームの満足度を天秤にかけて判断しましょう。

3. 資金計画全体を専門家に相談する

 建築士の視点: 私は、お客様のライフプランや将来の家計を考慮した上で、どのローンが最適かを提案します。例えば、リノベーション費用を抑えつつ、断熱改修などの性能向上リノベーションを優先することで、長期的な光熱費を削減できる、といったアドバイスも可能です。

 FP(ファイナンシャルプランナー)の活用: 専門家は、住宅ローン減税やリフォーム減税などの税制優遇、将来の家計シミュレーションまで含めた総合的な資金計画をサポートしてくれます。

まとめ:リノベーションは「資金計画」が成功の鍵

リノベーションローンの賢い選択は、理想の住まいを実現するための最初の重要なステップです。

 中古住宅購入+リノベーションの場合は、**「住宅ローン一体型」**を検討する。

 現在の住まいのリフォームの場合は、費用や借入額に応じて**「リフォームローン」**の有担保・無担保を使い分ける。

 金利、借入期間、審査の厳しさ、手数料など、それぞれのローンの特徴を比較検討する。

これらのポイントを押さえ、あなたに合った最適なローンを選び、後悔のないリノベーション計画を進めてください。

イエシール / 家を建てようと思ったら、一級建築士と賢く家づくり

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