深掘り解説コラム36 / つなぎ融資って何? 注文住宅のローン計画で知るべきこと

注文住宅を建てる際、多くの方が戸惑うことの一つが「つなぎ融資」です。一般的な住宅ローンは、建物が完成して引き渡しが済んでから融資が実行されます。しかし、注文住宅では、土地の購入費用や着工金、中間金など、完成前にまとまった支払いが必要になります。

この「完成までの間に発生する費用」を賄うために利用するのが、つなぎ融資です。一級建築士として、私はお客様の注文住宅計画をサポートする中で、つなぎ融資を理解し、無理のない資金計画を立てることの重要性を強く感じています。今回は、つなぎ融資の仕組みやメリット・デメリット、そして注意すべき点について、分かりやすく解説します。

つなぎ融資とは?:注文住宅ならではの支払い方法

つなぎ融資とは、住宅が完成し、本審査に合格した住宅ローンが実行されるまでの間、一時的に借り入れるローンのことです。

注文住宅の支払いは、以下のようなタイミングで複数回に分けて発生するのが一般的です。

 土地の購入費用: 土地を先に購入する場合

 着手金(着工金): 工事開始時に支払う費用(工事費の約30%

 中間金: 骨組みが完成した時など、工事の節目に支払う費用(工事費の約30%

 竣工金(最終金): 建物が完成して引き渡される際に支払う費用(工事費の約40%

住宅ローンは通常、建物に抵当権を設定して融資されるため、建物が完成するまで実行されません。しかし、これらの支払いには現金が必要となります。そこで、つなぎ融資を利用し、これらの費用を金融機関に立て替えてもらうのです。

そして、建物が完成し住宅ローンが実行されたら、そのローンでつなぎ融資を一括で返済するという仕組みです。

つなぎ融資のメリットとデメリット

つなぎ融資は非常に便利な仕組みですが、利用にはメリットとデメリットがあります。

メリット

 自己資金が少なくても家づくりが可能: 土地の購入費や着工金などを現金で用意する必要がなくなります。これにより、手元の資金に余裕がない方でも注文住宅を建てやすくなります。

 支払いタイミングに柔軟に対応できる: 支払いのタイミングに合わせて必要な金額だけ借りられるため、資金繰りの心配を軽減できます。

デメリット

 金利が高め: 一般的な住宅ローンに比べて、つなぎ融資の金利は高めに設定されています(24%程度)。

 利息の支払いが発生する: 借り入れ期間に応じて、高めの金利で利息を支払う必要があります。

 別途手数料がかかる: 事務手数料や印紙代など、つなぎ融資を組む際にかかる諸費用が発生します。

 つなぎ融資に対応していない金融機関がある: ネット銀行など、一部の金融機関ではつなぎ融資に対応していない場合があります。

注文住宅のローン計画で注意すべきポイント

つなぎ融資を賢く利用し、スムーズな家づくりを進めるために、以下のポイントに注意しましょう。

1. 建築会社(工務店・ハウスメーカー)の支払い条件を確認する

建築会社によっては、着工金・中間金の割合や支払いのタイミングが異なります。

 ポイント: 契約前に、着工金・中間金の金額と支払い時期を必ず確認しましょう。つなぎ融資を組む期間や利息に影響します。支払いのタイミングが少ない建築会社を選ぶことも、つなぎ融資の負担を減らす一つの方法です。

2. つなぎ融資に対応している住宅ローンを選ぶ

住宅ローンを検討する段階で、つなぎ融資に対応しているかどうかを必ず確認しましょう。

 ポイント: メガバンクや地方銀行は対応しているケースが多いですが、ネット銀行は非対応の場合が多いです。対応の有無だけでなく、金利や手数料、対応期間なども含めて比較検討しましょう。

3. 資金計画全体を把握する

つなぎ融資は、あくまで住宅ローン実行までの「一時的な借り入れ」です。つなぎ融資の利息や手数料も、家づくりの総費用の一部として計算しておく必要があります。

 ポイント:

  つなぎ融資の利息額をシミュレーションする: 借り入れ期間(土地決済〜建物完成まで)や金利を基に、利息がいくらになるか概算しておきましょう。

  諸費用を忘れない: 印紙代や登記費用、火災保険料など、住宅ローン以外にかかる諸費用も忘れずに資金計画に含めましょう。

4. 住宅ローンの事前審査を済ませておく

つなぎ融資は、住宅ローンの事前審査に通ることが前提となります。

 ポイント: 本格的に家づくりを始める前に、必ず住宅ローンの事前審査を済ませておきましょう。これにより、いくらまで借りられるのかが明確になり、つなぎ融資もスムーズに利用できます。

まとめ:つなぎ融資は「計画性」が重要

つなぎ融資は、注文住宅を建てる上で非常に有効な手段ですが、計画性のないまま利用すると、思わぬ出費に繋がるリスクもあります。

 つなぎ融資の仕組みとデメリット(高めの金利、手数料)を理解する。

 建築会社の支払い条件や、つなぎ融資に対応している住宅ローンを確認する。

 つなぎ融資の利息も含めて、家づくり全体の資金計画を立てる。

これらのポイントを押さえることで、あなたは資金繰りに悩むことなく、安心して夢のマイホームづくりを進めることができるでしょう。私たち建築士も、資金計画の初期段階から、お客様のライフプランに合わせた最適な家づくりをサポートします。

イエシール / 家を建てようと思ったら、一級建築士と賢く家づくり

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