深掘り解説コラム1 / 【家づくりの第一歩】住宅ローン基礎の基礎:金利タイプと選び方

夢のマイホームを手に入れる上で、多くの人にとって最も大きな壁となるのが「お金」の問題です。特に、その中心となるのが住宅ローン。一生に一度あるかないかの大きな買い物だからこそ、「よくわからないから」と人任せにするのではなく、ご自身でしっかり理解しておくことが重要です。

ここでは、住宅ローンの仕組みの中でも特に重要な「金利タイプ」に焦点を当て、それぞれの特徴と選び方のポイントを、一級建築士としての視点も交えながら解説します。

住宅ローンの金利タイプは大きく分けて3種類

住宅ローンの金利タイプは、大きく分けて以下の3つがあります。

 1.変動金利型

 2.固定金利選択型(期間選択型)

 3.全期間固定金利型

それぞれの特徴を理解し、ご自身のライフプランや金利への考え方に合わせて選択することが、賢い住宅ローン選びの第一歩です。

1. 変動金利型:低金利の恩恵を受けやすいが、リスクも伴う

変動金利型は、その名の通り、市場の金利動向に合わせて半年ごとに金利が見直されるタイプです。現在の日本では、長らく低金利が続いており、この恩恵を最も受けやすいのが変動金利型と言えます。

メリット:

 ・現在の返済額が最も低い水準からスタートできる可能性が高い。

 ・市場金利が下がれば、さらに返済額が減る可能性がある。

デメリット:

 ・金利が上昇すると、それに伴い返済額も増えるリスクがある。

 ・返済額の見直しには「5年ルール(5年間は返済額が変わらない)」や「125%ルール(返済額が従来の1.25倍までしか増えない)」といった緩和措置があるものの、将来的な金利上昇局面では、未払い利息が発生するリスクも考慮する必要がある。

「金利上昇リスクを許容できる」「金利の動向を定期的にチェックできる」「繰り上げ返済などで早めに完済する予定がある」といった方に向いていると言えるでしょう。

2. 固定金利選択型(期間選択型):一定期間の安心感と柔軟性

固定金利選択型は、「3年」「5年」「10年」といったように、契約時に選択した一定期間だけ金利が固定されるタイプです。固定期間が終了すると、その時点の金利で再度変動金利か固定金利かを選択し直すことになります。

メリット:

 ・選択した期間中は金利が変動しないため、その期間の返済計画が立てやすい。

 ・変動金利型よりも金利は高めですが、全期間固定金利型よりも低い傾向にあります。

 ・将来のライフイベント(子どもの教育費など)に合わせて、金利タイプを見直す柔軟性がある。

デメリット:

 ・固定期間終了時の金利がどうなっているか予測が難しい。

 ・再選択時に金利が上昇していると、返済額が大きく増える可能性がある。

「数年後に大きなライフイベントがある」「金利動向を見極めたい期間がある」といった方におすすめです。

3. 全期間固定金利型:何よりも「安心」を重視するなら

全期間固定金利型は、借入時から完済まで、金利が一切変わらないタイプです。代表的なものに「フラット35」などがあります。市場金利の変動に一切影響されないため、返済額が最初から最後まで確定しているという、最大の安心感があります。

メリット:

 ・借入額や返済期間に応じた毎月の返済額がずっと変わらないため、家計の管理が非常にしやすい。

 ・将来の金利上昇リスクを完全に回避できる。

デメリット:

 ・変動金利型や固定金利選択型に比べて、金利が最も高く設定される傾向にある。

 ・市場金利が下がっても、その恩恵を受けることはできない。

「将来的な金利上昇が心配」「毎月の返済額を確定させて、安心して家計を管理したい」「金利リスクを一切負いたくない」という方に最適な選択肢です。

建築士視点からのアドバイス:住宅性能と金利優遇

ここで、一級建築士である私から、特に知っていただきたいポイントがあります。それは、「住宅の性能が、金利優遇につながる場合がある」ということです。

例えば、耐震等級や省エネルギー性能の高い住宅、長期優良住宅などの認定を受けた住宅は、特定の住宅ローン(例フラット35Sなど)において、金利が引き下げられる優遇措置が適用されることがあります。これは、単に「環境に優しい」「災害に強い」というだけでなく、「住宅の資産価値を保ちやすい」と金融機関も評価しているからです。

一見すると金利がわずかな差に思えても、数十年単位で返済する住宅ローンにおいては、トータルの返済額に大きな違いをもたらします。家づくりの初期段階から、住宅性能を意識することで、賢くローンを組み、将来にわたる家計の負担を軽減できる可能性があるのです。

あなたに最適な金利タイプを見つけるために

最終的にどの金利タイプを選ぶかは、ご自身のライフプラン、収入の安定性、そして「金利上昇リスクをどこまで許容できるか」という考え方によって異なります。

「低金利の恩恵を最大限に享受したいが、金利上昇リスクも自分でコントロールできる」と考えているなら変動金利型。

「一定期間は安心して計画を立てたいが、将来的な見直しも視野に入れたい」なら固定金利選択型。

 「何よりも将来の返済額の変動が不安で、安心を最優先したい」なら全期間固定金利型。

まずはそれぞれの特徴を理解し、現在の金利状況、そして将来の家計や収入の見通しを具体的にシミュレーションしてみることをお勧めします。このサイトでは、建築士の視点から、住宅性能がローンや保険にどう影響するかを詳しく解説していきますので、ぜひ今後の記事も参考にしてみてください。

イエシール / 一級建築士と賢く家づくり

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